不均一計算環境におけるワークフロースケジューリングのための割当候補となる計算機部分集合の決定手法

不均一環境におけるワークフロースケジューリングは主にリストスケジューリングに基いており,与えられた全ての計算資源の情報を用いてスケジュール優先度を決めている.しかしながら実際に割り当てられる計算機は一部であることと,各計算機の性能の不均一性により,正確なスケジュール優先度が決まらないという問題がある.本研究では,ワークフローの特徴,ネットワーク帯域,計算能力を考慮してスケジュール時の割当候補となる計算機の部分集合の決定手法を確立する.さらに,各リストスケジューリングにおいて適切なスケジュール優先度が決まる時の割当候補の決定手法を確立する.これら2つの手法を組み合わせることにより,計算資源を有効利用しつつ,応答時間を小さくするためのプロビジョニングが可能となる.

計算資源の有効利用を目的とした不均一環境用ワークフロースケジューリングの研究

 本研究では,シングルプロセッサ搭載の計算機だけでなく,同時複数処理可能な計算機(マルチプロセッサまたはマルチコアPC等)が分散された環境における,計算資源の有効利用を目的とした資源割り当て手法を開発する.並列分散処理環境の研究分野では,近年では省電力を目的とした並列処理の研究が盛んに行われているが,このうち,計算資源を枯渇させずに自動的に効率良く処理させる方法,すなわち各計算機にどの仕事をどの程度の大きさで割り当てるべきか,という理論的な研究は十分にはなされていない.
 そこで本研究では,実行に必要な計算機を自動的に選択し,そしてその計算機に割り当てる処理単位の生成,及びその大きさを導出するための理論モデルやアルゴリズムを確立する.

Grid環境におけるWebサービスによる資源管理フレームワーク

 Grid計算は,通常の計算(汎用計算機等)よりも効率の良いジョブ実行を実現するために,実務だけでなく化学計算の分野で活用されている.GridのミドルウェアであるGlobus Toolkit4(GT4)では,WSRF(WS-Resource Framework)によって,多くの種類のジョブを投入できる.しかしながら,GT4を用いてクラスタGridを実現する場合,ジョブ実行・投入のルールは,WS-GRAMとローカルスケジューラ(LS)に依存する.そのため,ジョブ投入側(クライアント)の意図するルールをワーカ側に反映させることができない.
 本研究では,これらの潜在的な問題を定式化し,さらに解決方法をフレームワークとして実現した.提案手法では,WSRFの主要コンポーネントであるWS-GRAM内のResource Property(RP)を監視し,それらの状態変化を各ワーカへ通知する.これにより,クライアントによって意図的にRPを操作し,それによってワーカの振る舞いに反映させることができる.